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手話動画:伝えよう!民話に残る津波被害(2017年3月6日)

手話動画

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 気仙沼市大島には、「みちびき地蔵」というお地蔵さまがあり、明日死ぬという人の魂が、天国に導いてもらえるように挨拶に来ると言い伝えられています。その民話が「まんが日本昔ばなし」で放映されたこともあり、東日本大震災後に国内外のサイトで話題にもなりました。今回は、その民話をご紹介します。

 昔、ハマキチとその母親が田植えの手伝いに出かけた帰り、みちびき地蔵の近くを通りかかりました。すると、亡者の姿になった大勢の村人や牛馬が、次々とお地蔵さまに挨拶に来て天へと上がっていったのです。この様子を見た母親は恐くなり、ハマキチの手を引いて急いで帰宅しました。そして、家で父親にその話をすると、狐にでも化かされたんだろうと取り合ってもらえませんでした。
 翌日、いつになく浜の潮が引きました。ハマキチがせがむので家族で潮干狩りに出かけると、浜辺には大勢の村人が出ていました。やがて潮が満ちてくる時間になったのですが、満ちてきません。村人がおかしいと思っていたところ、沖のほうから、山のように高い大津波が浜へ襲ってきたのです。ハマキチ親子は急いで裏山に上り3人とも助かったのですが、逃げ遅れた大勢の村人が亡くなってしまいました。母親は、昨日見たのはこの津波で亡くなった人の魂だったんだと確信しました。村の書きつけには、この津波で61人が亡くなり、牛馬6頭が死んだと記されています。

 この民話のおかげか、大島の住民達は津波への警戒心が強く、東日本大震災時に高台へ避難した人が多くいました。みちびき地蔵には今でも花や線香が欠かさずに供えられています。津波の恐ろしさを風化させず、伝えていくことが大切です。